お客様から、残業計算について従業員から問い合わせがありそれについてのご質問があった内容を記載します。皆様の会社ではこのような事がないとは思いますが、一度確認された方が良いと思います。
概要
ある従業員から残業代が合わないと問い合わせがあった
この会社は15分間単位で残業申請させている
給与計算時は毎日の15分間未満は切り捨てて集計している
昔からの慣習で、総務に配属されたときから行われている集計方法である
今までは残業に関しての問い合わせはなかった
相談内容
朝9時から夕方の5時45分までの7.45時間の所定労働時間です。それ以後の労働は残業代がつきますが15分単位でしかないルールとなってます。残業申請は15分間単位で書いて提出してもらってます。毎日15分間以下の残業時間は切り捨ててます。従業員は「1分単位でつかないのは違法みたいですけど?」どうなんですか?と言っていますが、違法なんですか?
この様なご相談内容でした。労働基準法第24条「賃金全額払いの原則」に完全に違反している状況です。いつからこのような状況になったのでしょうか?
2020年4月以降は5年間(当分の間は3年間)の未払い賃金の請求期間があり、人数によっては
会社の根幹を揺るがすことにもなりかねません。これを受けての回答となります。
回答
問い合わせてきた従業員の言った通り、1分単位で支払う必要があります。
月の集計での30分間の四捨五入は認められています。
1か月集計残業時間 20時間19分 30分未満 → 切り捨て 20時間
20時間31分 30分以上 → 切り上げ 21時間
といった感じです。
日々の集計での切り捨ては違法となります。
ただし、この残業時間に対して労務管理上の問題があります。
15分間のすべてを業務していたか?といった点です。
「10分間は仕事、5分間は自販機前で休憩していた。」といった場合には
勤怠集計上は終業の打刻を行った時点では15分間の残業が発生しているように感じますが、実際は10分間の残業となります。
その把握が非常に難しい点と給与計算上の煩雑さ(昔からの名残)から
過去に決めた慣習がそのまま残っていることが考えられます。
しかし、違法です。
勤怠集計と給与明細から計算して、未払い残業代があるのであれば
支払い請求は可能です。
宜しければお伺いして、私の方から社長様にお話いたしましょうか?
もちろん未払い残業代は支払う必要がありますし、過去3年分は遡って支払う必要があります。それに付け加えて、今後の残業申請と許可基準等を含めた対策をお話しする必要があります。このまま、慣習だけ撤廃するだけでは残業時間が増えるだけで、会社の業績悪化の原因になりかねません。ですから労務管理上どのような体制で働かれているのか?従業員の管理体制は十分か?などといった点も考慮に入れて今後の対策を考えられた方がよろしいことをお話しさせて頂ければと思います。
ご覧いただいたように、かなりまずい話です。もし、会社でこのような慣習が存在しているというのであれば、早急に対処された方がよろしいという事がお分かりいただけたと思います。古くからの会社で昔の慣習が存在していないかを総点検してみてはいかがでしょうか?
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